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高松・やしまーるで「屋島での夜の夢」公開 日本で唯一のパノラマ館

源平合戦をモチーフにした「屋島での夜の夢」

源平合戦をモチーフにした「屋島での夜の夢」

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 屋島山上交流拠点施設「やしまーる」(高松市屋島町東)館内で9月29日、パノラマ館作品「屋島での夜の夢」の展示が始まった。日本国内に現存するパノラマ館は同作品のみ。

壁面から飛び出したように配置される壊れた舟

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 パノラマ館は、円筒形の建築構造の壁面に遠近法を用いて絵を描くとともに近景には実際のオブジェを配置した、だまし絵を発展させた空間作品。19世紀ヨーロッパを中心に流行し、日清・日露戦争の際、国民の士気高揚のために東京・浅草をはじめ、香川県にも琴平町にパノラマ館が造られたが時代とともに廃れ、日本国内には現存していなかった。

 同作品は保科豊巳(とよみ)さんを中心として、「パノラマ館再現」を目的に制作。入り口から朝・昼・日暮れと時間が進んでいく。波の音、馬のいななきなどの効果音も流れる。

 源平合戦を作品のモチーフとするが、「史実の源平合戦」ではなく「ある人物が屋島を訪れた際に夢で見た合戦」を描く。「無常観」をテーマとし、戦いのほか、荒波や竜巻などの自然災害の前には無力な人間の姿を描く。

 「扇の的」「義経の弓流し」などのエピソードは登場しない。夢の世界が舞台であるため、この時代のものではない服装の人物やきのこ雲、外国人など、源平合戦が繰り広げられた平安時代には存在しないものも作中に登場する。「見る人それぞれの『源平合戦』を思い描いてほしい」という意図からこのようにしたと言う。

 公開初日、同館を訪れ作品を観覧した三村加代子さんは「カーブに沿って描かれているのが他にはなく面白いと感じた。光の当たり方で絵が浮き上がって見えて不思議な感覚がした。当館には夏にも来たが、建物自体も夏とは光の差し込みが変わり、印象が変わって見える。四季で楽しめそう」と話す。

 中條亜希子館長は「オープンから2カ月、作品制作中は立入禁止にしていたが、公開できて、ようやく『やしまーる』の全てがそろったという思い。瀬戸芸の秋会期も始まるので、完成した『やしまーる』を見に来てほしい」と呼びかける。

 20分ごとの入れ替え制で、入場可能時間は、月曜・水曜・木曜・日曜=9時20分~16時20分(13時~14時メンテナンスのため休止)、金曜・土曜=9時20分~20時20分(13時~14時、17時~18時休止)。火曜休館。観覧料は1,000円(中学生以下無料、「瀬戸内国際芸術祭作品鑑賞パスポート」提示で200円引き)。正面エントランスでチケットの購入が必要。

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