徳島在住の書道家・太田仙鳩(せんきゅう)さんによる書展が現在、高松市塩江美術館(高松市)で開かれている。
四国大学(徳島市)文学部で教壇に立つ傍ら書道家として活動する太田さん。作品展には漢字だけでなく渦巻きやハングル、ペルーの「ナスカの地上絵」をモチーフにした作品など40点を並べるほか、太田さんが研究対象にする塩江出身の儒学者・藤沢南岳のびょうぶなども展示する。
同展のために農業で主に使われる不織布・寒冷紗にナスカの地上絵を描き、天井からつるした太田さん。「同館は天井から自然光を取り入れた構造なので光を生かした展示をしたいと考えた。光をある程度通しつつも強度があり廉価である素材を探した末、以前も展示で使ったことがある寒冷紗に行き着いた」という。「書道の経験のない人や幼児でも興味を持ってもらえる題材を考えた時に、漢字の最古の形である甲骨文や弥生時代に使われていた銅鐸(どうたく)の絵文字や模様に類似していることや、地上絵を描いた古代ペルーの人々のDNAが縄文人のものに極めて近く、縄文土器がペルーから出土するなど共通項があることから、ナスカの地上絵を作品の題材に取り入れた」と話す。
「書道は長く東アジアで育まれてきた文字芸術でありコンピューター全盛の現代にも芸術や教育、観光などで存続している一方で、書道展は書道経験のない人には難解でハードルが高いものと感じてしまう傾向もある。そのため、作品制作では誰にでも分かりやすいこと、書の意味内容と表現の魅力をセットにして小字数や仮名交じり文の作品制作に重点を置いた。文字の中には顔に見えるような部分もある。造形の面白さと文字の意味とが一緒に楽しめるのが書の魅力」と話す。
開館時間は9時~17時。観覧料は、一般=300円、大学生=150円、65歳以上・高校生以下無料。2月9日まで。