
絵本「ジュエルっ子物語」のトークイベントが3月1日、高松の書店「本屋ルヌガンガ」(高松市亀井町)で開かれ、作者の濱田アキさんと挿絵を描いた犬飼美也妃さんが登壇した。
物事を敏感に考えてしまう女の子・アキがトランスジェンダーの少女・タクと出会い、ありのままの自分を受け入れるまでを描く同書。当日は、濱田さんによる絵本の読み聞かせから始まり、本ができるまでの経緯や2人のお気に入りの絵、性的マイノリティーについて感じることなどについて話を展開した。トーク後には来場者の質疑に応じた。
性的マイノリティー当事者である濱田さん。同性のパートナーとカナダで結婚やパートナーの性別転向なども経験した。犬飼さんとは2014(平成24)年ごろ、身体表現のワークショップで出会った。濱田さんがフェイスブックのノートに書いた文章を犬飼さんが見つけて声をかけたのが本作の始まりだという。
犬飼さんは「文章を読んだ時、言語化しているけれど具体的でないのが印象的だった。文章の中に『いつか絵本になったらいいな』と書いてあるのを見て、絵を描かせてほしいと声をかけた」と振り返る。
濱田さんは「声をかけられた時、絵本にしたいと書いていたことを忘れていたが、性的マイノリティー当事者でない犬飼さんが感銘を受けて絵を描きたいと言ってくれうれしかった。犬飼さんが性差などの問題をおおらかに当たり前のように受け入れてくれるところに救われている」と話す。
来場者の一人・松村優子さんは「トークの題材は性的マイノリティーを中心にということだったが世の中にはさまざまな理由でそれぞれ生きづらさを感じている人がいる。1人で抱えがちなモヤモヤも何かしら表現することで心が軽くなるかもしれないと感じた。発信することで必ずどこかで見てくれる人や共感してくれる人がいて、救われるかもしれない」と話していた。
濱田さんは「同店は第一印象からすてきだと感じていたのでここでトークショーをできてうれしい。緊張もしていたがいつもの2人らしく話ができた。物語の帯にも『ふわっと詠みたい』とあるが『ふわっと』がこの本の肝となる部分。読む人の心を軽くできれば」と話す。