高松空港の旅客機へ向かう通路「固定橋」の天井に10月9日、香川県出身のテキスタイルデザイナー・磯野藍さんのアート作品「往古来今」が取り付けられた。
高松空港が進める地域連携プロジェクト「空港から人と街を元気に」の一環として、空港を訪れる人々に向け香川の文化や魅力を発信する試み。作品名「往古来今」は過去から未来へと続く時間の流れを意味し、作品は香川の伝統と現代の感性の交差を表現しているという。
磯野さんは、日本の伝統工芸をテーマにしたテキスタイルブランド「YokkePokke(ヨッケポッケ)」を手がけるデザイナー。今回の作品では、香川の郷土玩具「張子の虎」や「奉公さん」をモチーフに、伝統色と現代的な配色を掛け合わせた4種類のデザインを制作。ポリエステル布にインクジェットプリントした2.5メートル×1メートルの布を複数組み合わせ、2番・3番・5番・6番の固定橋天井を鮮やかに彩る。
同日から、作品をモチーフにした手拭いやバッグなどのオリジナルグッズを空港内店舗「四国空市場」で販売。3階展望デッキへ続く「スカイウオーク」には、通路デザインの原画を含む10点の作品も展示する予定で、期間は今年いっぱいを見込む。
初日には、磯野さんが自ら対象便の利用客にオリジナルグッズを手渡しながら出発を見送った。磯野さんは「空間全体で香川の郷土文化を感じてもらえる場所にしたかった。飛行機に乗る方が作品を見上げる姿を見られてうれしい」と笑顔を見せる。
制作には約半年をかけたという。磯野さんにとってこれほど大規模な公共空間での展示は初の試み。「この作品が訪れる人の記憶に残り、香川の魅力を思い出してもらえるきっかけになれば」と期待を寄せる。