高松や直島などを会場に10月31日~11月2日、「第8回たかまつ国際古楽祭」が開催される。
昨年、高松市美術館で開かれた「古楽祭ガラ・コンサート」の様子
2017(平成29)年に始まった同音楽祭。欧州を拠点に活動する高松市出身の音楽家・柴田俊幸さんが第1回から芸術監督を務め、古楽の魅力を発信してきた。
初日は、直島ホールで古楽器バンド「さかなにしたろうかな」によるコンサート「島古楽」を開催。11月1日は、イタリアンレストラン「Knocking kitchen」(高松市藤塚町)でライブを行う。最終日は、高松市美術館(紺屋町)エントランスホールでメインイベント「古楽祭ガラ・コンサート」を開催。作曲家・編曲家の伊藤康英さんと、来年の高松国際ピアノコンクール課題曲を手がける作曲家・桑原ゆうさんが、古楽オーケストラと邦楽器を融合させた新作を世界初演する。
今回のテーマは「先生、バナナは古楽に入りますか?」。古楽の既成概念を問い直し、音楽の原点である「創造の喜び」に立ち返ることを目指す。「イタリアの芸術家マウリツィオ・カテランが、壁にバナナをテープで貼り付けた作品から着想を得て、今年のテーマを設定した」と語る柴田さん。「近年、アートの多様化によって『アートとは何か』という定義や真価があいまいになってきている。同じように、古楽も18世紀の古典派以前の中世・ルネサンス・バロックなどを指すとされながらも、その解釈は人によって異なる。バナナは大量生産・大量消費の象徴としてアート作品にも登場してきた、ある意味で古楽と対照的な存在。あえてその2つを並べることで、改めて『古楽とは何か』という問いを立て直したかった」と話す。
高松在住のイラストレーター・オビカカズミさんが手がけたイベントポスターには、バナナの写真とそれを見つめるバッハの姿が描かれており、ベルギーの画家ルネ・マグリットの作品をモチーフにしているという。柴田さんは「バッハの肖像とバナナを対峙(たいじ)させることで、古楽を現代によみがえらせるという、ある種非現実的な行為を表現したかった」と話す。「クラシックを普段聴かない人の目にも留まるように、一見すると古楽のコンサートとは思えない、親しみやすいデザインにした。多くの人に古楽を身近に感じてもらうきっかけになれば」とも。
各公演とチケットの情報は、ウェブサイトに掲載する。