提供:Rethink Creator PROJECT 制作:高松経済新聞編集部
「日本中でクリエイターの地産地消を~地元を誰かにまかせない~」をテーマに、それぞれの「地域」、「文化」、「暮らし」ならではの魅力を地元の人が発見・発信していくことで、持続可能な地域活性化の一助となることを目指している「Rethink Creator PROJECT(リシンククリエイタープロジェクト)」。その一環である「Rethinkセミナー」が5月25日、高松市民防災センター(高松市多肥下町)で開かれました。
「Rethink Creator PROJECT」とは「地元を誰かにまかせない」をキーワードに地域の魅力を再発見・発信できる人材を日本全国に創出し、地元住民による地域活性を目指すプロジェクト。2018(平成30)年からスタートし、これまで全国の約50の地域で90回以上のセミナーを重ねてきました。主催はインターネット広告で多くの実績を持ち、クリエイターの養成や支援も行うクリエイターズマッチ(東京都渋谷区)。本プロジェクトは同社のメソッドと日本たばこ産業株式会社(=JT、東京都港区)が推進する地域社会への貢献活動「Rethink PROJECT」がコラボしたもの。セミナーでは、主にデザイン未経験者を対象に、デザインに必要な情報収集の考え方を座学とワークショップを通して学ぶことができます。高松では昨年9月にも開催し、今回で3回目となります。
セミナーはメディアの注目度も高く、テレビ局や新聞社など県内各局から取材がありました。

今回は香川大生や市の職員など約20人が参加しました。

セミナー前から会話が弾み、時折笑い声も聞こえるなど和やかな雰囲気で開始の時を待ちます。
今回のセミナーの題材は「ローテク防災」。香川県は災害に遭うことが少ない県ですが、災害時には断線や停電など電気が使えなくなるケースが考えられます。電気を使わず、どこにでもあるような材料で作れる災害対策として、香川大学客員教授である松尾裕治さんが2010(平成22)年に提唱したのが「ローテク防災」です。
今回はPRセミナーの前に瀬戸内海放送(KSB)元アナウンサーの中村康人さんによる「ローテク防災」の講義が行われました。
中村康人さん
ペットボトルを使った降水量観測装置「アメミルペット」や浸水で足元が見えない時に安全を確認する竹を使った「さぐり棒」など、身近なものからできる防災グッズを紹介する中村さん。講義の中ではガラスなど尖ったものが散乱する地面も安全に歩ける新聞紙で折れるスリッパを作りました。

尖ったものが散乱した地面も新聞紙スリッパがあれば安全!
セミナーは前半30分・後半90分の合計120分で構成され、前半では「Rethink=視点を変えて考える」講座を受け、後半ではその技術を駆使しながら地元のPRポスター2点を実際に製作していきます。講師はライターの大鹿一也さんと、デザイナーの磯田浩見さん。香川県在住の講師2人がトークを交えながらわかりやすく「Rethink(視点を変える)」のコツを手ほどきしていきます。
「Rethink」の3つの視点、「FILTER=誰に何を伝えたいのか絞り込む」、「INSIGHT=相手に寄り添った情報、モノの外側ではなく内側を見る」、「CAPTA=データ情報ではなく自由で柔らかい印象などの情報を見る」というRethinkの上で重要となる3つのステップを紹介。
今回は東京に住み、地方移住を考えている大鹿さんの友人をターゲットに「香川のPR」を考えていきます。




ステップを踏まえていくことで、「不特定多数に向けたメッセージ」が「具体的なターゲットに向けたメッセージ」へ変わっていきました。
Rethinkの3つのステップはクリエイターズマッチに在籍するクリエイターが企業のブランディングや課題解決のため実際に使っているテクニックとのこと。プロが現場で実践している技を凝縮し学んだ30分を経て、いよいよ後半は実際にポスターを作るワークショップに進みます。

セミナー後半では6グループに分かれ、前半で学んだことをもとに、ローテク防災について発信するポスターを作成するワークショップが行われました。テーマに取り上げるのは中村さんが紹介した身近なもので作れる「ローテク防災三種の神器」と新聞紙で作る簡易毛布の2つ。
「フィルターを通して、伝えたい相手を想像する」、「写真から感じられるカプタをたくさん見つける」、「インサイトに寄り添うキャッチコピーをつくる」、そして出来上がったコピーを元に「デザイナーがポスターのデザインをつくる」の4つのステップで進行します。
ターゲットを考え、写真から感じた「カプタ」を書き出し、共有します。


あちこちで熱心なやり取りが交わされました。


その後各グループの代表者が発表し、大鹿さん、磯田さんが講評しました。各グループで出たフィルター、キャッチコピーは以下のとおりです。
選ばれたキャッチコピーは「ゼロ円で作る命の守り神~謎の人助けグッズ~」「新聞って神 もう毛布はいらない~♪」の2つ。選ばれたコピーを磯田さんが写真に落とし込んでデザインします。
写真に文字を配置して制作開始です。

今回磯田さんが注目したのは「ゼロ円」の部分。数字を目立たせるために「ゼロ」と数字の0を組み合わせます。

制作の模様を真剣に眺める参加者たち。磯田さんのアイデアでどんどん印象的に仕上がっていくポスターに会場からは時折感心の声も上がります。

プロらしく、発案者のこだわりのポイントなども聞きながら作品を仕上げていきます。

完成時には会場から拍手が起こりました。

出来上がった作品がこちら!

高松市総務局 総務局次長 危機管理課長 村上太郎さん
今回は防災がテーマで、若い参加者の方も多くいらっしゃいます。若者ならではの視点を持ってセミナーに参加してもらい、若い人にも防災について広める機会になることを期待します。(開会時のあいさつより)
JT香川支社長 蔵下泰豊さん
香川は災害に直面することが少なく、防災を意識する機会が少ないかもしれませんが、いつ起きるか分からないのが災害です。身近なもので作れる「ローテク防災」について学び、発信していただくことで、香川県民の防災意識を高めていく一つのきっかけになればと思います。(開会時のあいさつより)
株式会社クリエイターズマッチ 大友湧矢さん
当セミナーでは観光スポットや特産品などを題材に使いPRについて考えていくことが多いのですが、その中で今回は「防災」という珍しい題材でした。それでも、視点を変えていくことで「良いもの=人の心に伝わるもの」は作ることができると今回のセミナーを通して改めて感じました。香川県は災害が少ない地域である分、今回のセミナーで学んだことを使って周知していただきたいです。
講師 大鹿一也さん
クリエイティブに「プロか、プロでないか」は関係ありません。大事なのは同じ情報でもより伝わりやすくする「切り口」です。グループによって全く異なる見方をされているのを見て、改めてそのことを感じました。
香川県は災害に直面することの少ない地域です。防災は考える必要のある大事な問題ですが、真面目だけではなかなか学習しにくいものでもあります。このような形で楽しみながら防災について学べる機会が増えれば良いと思います。
講師 磯田浩見さん
「視点を変える」ことはデザインをする上で常に考えていることですが、人前で見せながら言葉で説明しつつ作業することはその手順を見直すことにもなります。今回も自分のデザインについて振り返り、伝えるために必要なことを考える大切さを改めて感じました。
近頃地震のニュースを耳にすることが増えてきて、「備えなければいけない」という気持ちはありますが、用意できていませんでした。身近なもので思う以上に多くのことができるローテク防災について知ったので自分の防災にも役立てたいです。
JT 長谷川チヨさん
「テーマが防災に決まった」と最初に聞いた時はどのような題材でセミナーをするか想像もつかなかったのですが、身近なもので作ることができる「ローテク防災」という題材を用いることで参加者にもとっつきやすく、テーマは重いものでありながら楽しいセミナーになったと感じます。
今回の参加者の中には災害対策について普段から勉強されている学生の方々も多く、皆さん真剣に取り組まれているのが印象的でした。
セミナーでの学びを活かし、自分自身で地域の魅力を発信するポスターコンテストが開催されます。人に伝えたい地元の魅力が詰まったメッセージをA4タテサイズのポスターに込めてみませんか。詳細は決定次第、公式サイトで案内する予定です。



