
高松のうどん店「手打うどん三徳」(高松市林町、TEL 087-888-2368)が7月30日、30周年を迎えた。
店主の岡田栄一さんはかつてマグロの卸売業で営業職を務め、45歳の時にうどんの世界へ飛び込んだ。「自分で何か商売をしたくなり手っ取り早く始められそうで世情にあっていると感じたのがうどん店だった」と振り返る。会社員時代に親交のあった食品会社の経営者に数日間うどん作りの基礎を教わった後、設備を借りて1カ月間うどん作りを独学。1995(平成7)年に上福岡町で開業し、2006(平成18)年に現在の場所に移転した。
同店ではさまざまな創作うどんを提供する。マグロや山芋をのせた看板メニューの「山かけ鉄火しょうゆうどん」(小780円~)や、「中華風肉みそうどん」(小670円~)、豚肉やキュウリ、錦糸卵などをのせた夏限定メニュー「夏麺」(小690円~)など、メニュー数は30種類を超える。そばやうどんだしをスープに使ったラーメンも提供する。
麺は香川県産小麦「さぬきの夢」をブレンドした小麦粉を使い、「打ってから1日たってもこしがなくならない麺であることにこだわっている」という。だしを取るのにオホーツク海産の天然昆布を使ったり、肉うどんには国産牛を使い注文が入ってから火を通すようにしたりと「開店当初から素材と味にはこだわってきた」と岡田さん。「ある時、うどんに使う塩を変えた時にすぐにお客さまから『うどんがおいしくなった』と言われたことがある。お客さまはこちらの思う以上に味の変化に敏感で、店側が思う『これくらいだったら』は通用しない。開店時から広告は出さずにその費用でより良い素材を買うなど味を磨くことに使ってきた」と話す。
30年を振り返り、「コロナ禍の時など『もう駄目だ』と思ったこともあったが、多くの人に助けられてここまでやってこられた。開店時から働いていた人の子どもが後を継いで働いてくれるなど、スタッフにも日々支えられている。今後も感謝の気持ちを胸にお客さまにおいしいと思っていただけるうどんを提供していきたい」と岡田さん。
今年9月に代表職を次男の直人さんに譲り第一線は退くが、会長として引き続き店には関わっていくという。「当店の麺は30年かけて店に立つ中で試行錯誤し作り上げてきたもので、打ち方は体が感覚として覚えている。それを伝えていきたい」とも。
営業時間は11時~15時45分。木曜と第2・第4水曜定休。