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旧県立体育館の解体中止へ署名活動 再生委が利活用案提示

高松駅前で行った署名活動の様子

高松駅前で行った署名活動の様子

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 旧香川県立体育館(高松市福岡町2)の民間での保存および利活用を目指す「旧香川県立体育館再生委員会」が8月3日、高松市中心部で解体中止の署名を呼びかける活動を行った。

高松駅前でチラシを配り署名を呼びかける有志スタッフ

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 建築家・丹下健三の設計で1964(昭和39)年に完工し、「船の体育館」の愛称で長年親しまれてきた同館。老朽化と耐震改修工事の不振により2014(平成26)年より休館している。休館後も施設の保存や有効活用案が検討されたが不首尾に終わり、香川県は2023年2月に解体方針を決定した。今月にも解体工事業者決定のための一般競争入札を行う予定。

 香川県の建築家やコンサルタント、複数企業から成る同委員会は7月13日に記者会見を開き、宿泊施設としての同施設の再利用案を発表。同27日からオンラインで解体工事の中止を求める署名活動を始めた。

 高松の建築家で同委員会委員長を務める長田慶太さんは「香川県が昨年解体の費用に10億円がかかると発表した時、『相場では通常3億円なのになぜそんなにかかるのか』『まだまだ建物としての余力が残っている』と思い、再利用の道を考えるようになった」と話す。その後準備を進め、日本国内の複数企業によるサポートや米・ハーバード大学などによる支援、日本の文化庁による並走の可能性も高まり、官民連携の気運が高まったことで再利用案の発表に踏み切ったという。

 この日は10時に高松駅前広場、その後高松三越(内町)や高松港フェリー乗り場周辺で歩行者に向けてチラシの配布と署名の募集を行った。同委員会メンバーのほか、有志30人余りも集い750人分の署名が集まった。

 活動を終え、長田さんは「想像以上に多くの有志が協力してくれ、署名も集まり驚いている。民間が老朽化の進む公共施設を購入・所有して運営しながら文化財認定を受けることができれば日本国内で初めての事例となる。今回のプロジェクトが実現したら今後、日本国内のモダニズム建築物の保護もしやすくなる」と話す。「早くてお盆前に解体事業者の公告がある。そこで事業者が決まらなければ、香川県との協議など今後の活動に向けての希望も残る。引き続き、署名を呼びかけるとともに香川県に対して働きかけていきたい」と意気込む。

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