映画と食のコラボレーションイベント「美味(おい)シネマ vol.11」が2月28日、高松国際ホテル(高松市木太町)で開催された。
上映会に合わせて提供された和御膳 握りずしには物語の舞台となった沖縄・南大東島の名物「大東寿司(ずし)」も用意
同イベントは、エフエム香川の映画情報番組「勝手にシネマニア」との共同企画。映画を鑑賞した後に、作品の世界観から着想を得たホテル料理長による特製料理を味わうプレミアム上映会として親しまれてきた。今回は6年ぶりの開催となり、再開を心待ちにしていた多くの映画ファンや地元客150人でにぎわった。MCは同番組ナビゲーターの帰来雅基さんと中井今日子さんが務めた。
今回上映されたのは、原田マハさんの同名小説を映画化した「風のマジム」。沖縄を舞台に、サトウキビを原料とするラム酒造りに挑んだ女性の実話を基にした物語。昨年秋に公開された新作を上映することは異例だが、同作のエグゼクティブプロデューサー・笹岡三千雄さんに、坂出東ロータリークラブ会員でまえだ整形外科医院(坂出市)理事長を務める前田直俊さんが掛け合って実現したという。中井さんは「映画を見てほれ込んでしまい、イベントの復活に上映する作品はこれ以外にないと思っていた。発酵もさまざまな要因によって出来上がるものだが、このイベントも多くの方に支えられて実現にこぎ着けた」と振り返る。
上映後には、映画をイメージした食事が提供された。テーマは、ラム酒造りに欠かせない「発酵」。刺し身用のしょうゆはひき割り納豆を入れた「納豆じょうゆ」を使い、甘酒を用いたラム酒シロップのプリンなど、発酵を随所に取り入れた和食御膳が用意された。作中に登場するラム酒のモデルとなった沖縄県南大東島産のアグリコールラム酒「CORCOR(コルコル)」も提供。参加者はスクリーンで見た情景に思いをはせながら、料理とラム酒のマリアージュを堪能した。
会場では発酵をテーマにしたトークも展開。同ホテル和食料理長の岡本一久さんと、香川の酒蔵・勇心酒造(綾川町)研究開発部門の徳山敬明さんが登壇し、国内の発酵食文化や食以外の発酵技術などを紹介した。岡本さんは「提供した料理には発酵食品のほか、発想を広げて熟成させた食品なども使った。日本食に発酵食品は欠かせないが、調理を通して発酵と熟成の違いを勉強し直す良い機会になった」と話す。徳山さんは「西洋文化の流入に伴い日本人は一度発酵を切り捨てたが、再びその価値が見直されている。今回のイベントをきっかけに、発酵がより身近な存在になれば」と期待を寄せる。
イベントを終え、帰来さんは「6年ぶりに復活させることができうれしい。今後も継続して開催していきたい。番組も32年目。これからも中井さんと2人で長くやっていきたい」と意気込みを見せた。