高松・讃岐漆芸美術館(高松市上福岡町)1階で現在、「茂木(しげき)伸彰うちわ展」が開かれている。
200年以上続く丸亀市のうちわ工房「茂木団扇(だんせん)」の8代目当主である茂木さん。竹を使った伝統的なうちわ作りを続けるとともに、うちわを使った照明「うちわスタンド」を製作したり、昨年9月に香川出身のデザイナー・磯野藍さんによるデザイナーブランド「Yokke Pokke(ヨッケポッケ)」とのコラボうちわを制作し「讃岐おもちゃ美術館」(大工町)のショップで販売したりと、うちわの幅を広げる制作活動も行ってきた。2021年には、曲げる途中のうちわの形状を生かした「銘々皿」が香川県産品コンクール一般の部で「うどん県。それだけじゃない香川県」優秀賞を受賞した。
同展ではうちわスタンドや銘々皿のほか、うちわを羽に見立てたチョウのオブジェや両面に端午・桃の節句を描いた「うちわタペストリー」などを展示販売。同施設1階のフロアはカフェも併設しており、壁に飾りうちわを飾る。
展示について、同館の多田博文館長は「茂木さんの作品は伝統を踏まえつつ、新たな味わいを取り入れている。うちわを生かしたオブジェや照明など家の中に置けるものもあるので、伝統のものを見たり、気に入ったものがあれば家に置いたりして楽しんでほしい」と来館を呼びかける。
うちわについて、「香川県の伝統工芸品のうち、経済産業大臣の指定を受けた『伝統的工芸品』は『香川漆器』『丸亀うちわ』の2つ。その中でも昔ながらの竹作りにこだわる工房、特に大きな飾りうちわを作れる工房はほとんどない。現状のままだと、20~30年ほどしたら、この工房も途絶えてしまう。伝統工芸は一度絶えると元には戻らない。この機会に高松の人に『昔ながらの本物の丸亀うちわ』を知ってほしい」とも。
開館時間は10時~18時。水曜・木曜休。入場無料。2月5日まで。