屋島山上交流拠点施設「やしまーる」(高松市屋島東町)で3月18日、屋島の自然や歴史にフォーカスした「ローカル展示」が始まった。
これまで同館の展示スペースでは、同館の建築過程や設計図などの資料を展示していたが、今回のリニューアルで埋蔵文化財などを展示したり、スピーカーを使い屋島の自然の音響を流したりするなど、「屋島の特性や魅力、価値、楽しみ方などを知り、学び、感じてもらう」ことを目的とした展示内容に刷新した。
展示スペースに高松の出土品を置くほか、館内には音楽家・原摩利彦さんが屋島の森や洞窟で録音した自然音やピアノの音を加工した音声を振動スピーカーで流し、壁面に写真家・石川直樹さんによる屋島で撮影した写真を飾る。現代アートチーム「目(mé)」は素材を圧縮して作った「人工石」やムクドリの群れに着想を得た時計の針を使ったモビールを制作、館内随所に展示する。
初日には館内でオープニングイベントとして、参加作家によるトークイベントを実施。同館を設計した建築家・周防貴之さん、現代アートチーム「目(mé)」、原さんが登壇。やしまーるの設計に込めた思いや各作品の意図の説明や屋島の魅力などを語り合った。
トークイベントで周防さんは「屋島はメサと呼ばれる地質学的に見て特異な地形であるとともに、高松市民にとっては自分の位置を知るのにも使われるランドマークであり、小学校の遠足などで必ず一回は登る場所でもある。自然公園でありながら高松の中心にあり、自然と都市の境界があいまいで面白いと思い、曲がりくねった屋島のハイウエーがさらに山頂まで伸びるような構造にしようと、この施設もカーブを描く回廊型に設計した。近隣の『れいがん茶屋』も設計したが、この2つの建物の完成によって多くの方が訪れ、屋島の雰囲気が変わってきたと感じる」と話す。
トークイベントを総括して、中條亜希子館長は「今回の展示の完成で『この施設の最後のパズルのピースがはまった』と感じた」と微笑む。