高松市美術館(高松市紺屋町)で現在、画家・上田薫さんの作品展が開かれている。
上田さんは1928(昭和3)年生まれ。1954(昭和29)年、東京芸術大学卒業後、1956(昭和31)年にはポスターの国際コンクールでグランプリを受賞し、グラフィックデザイナーとして活動した。その後1960年代に絵画制作を再開、1970(昭和45)年発表の「貝殻」を皮切りに写実的な作風を確立。割れた生卵やゼリー、シャボン玉、川の水面などの流動的なモチーフの一瞬を精緻に写し取り「スーパーリアリズム(超写実的)の第一人者」と評された。90代になった今もポップな色やデザインの絵を描くなど創作活動を続けている。
今回の展示では代表的な写実画作品のほか、在学時のデッサンや初期の抽象画、ポスター、今年スケッチブックに描いた作品など100点以上の作品を年代ごとに展示するとともに、かつて描いた作品を妻とともに振り返る上田さんの様子を撮影した動画を上映する。
展示について、同館学芸員の石田智子さんは「上田さんの作品は写実的だが、割れた生卵の絵画には手が描かれていないなど、よく見ると現実的でない部分もある。それでも見る人々がリアルだと感じるのは上田さんの切り取り方、絵の精緻さが並外れたものだから。上田さんは自分の作品にテーマやメッセージを込めず、見たものを描いてきたので芸術としても分かりやすい。夏休みに家族で見てもらえれば」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時(金曜・土曜は19時まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,200円、大学生=600円、高校生以下無料。9月18日まで。