提供:Rethink Creator PROJECT 制作:高松経済新聞編集部
「日本中でクリエイターの地産地消を~地元を誰かにませない~」をテーマに、それぞれの「地域」「文化」「暮らし」ならではの魅力を地元の人が再発見・発信していくことで、持続可能な地域活性化の一助となることを目指している「Rethink Creator PROJECT(リシンククリエイタープロジェクト)」。その一環である「Rethinkセミナー」が9月29日、高松市卸売市場(高松市瀬戸内町)管理棟会議室で開かれました。
「Rethink Creator PROJECT」とは「地元を誰かにまかせない」をキーワードに地域の魅力を再発見・発信できる人財を日本全国に創出し、地元住民による地域活性を目指すプロジェクト。2018(平成30)年からスタートし、これまで全国48地域で80回以上のセミナーを重ねてきました。主催は、クリエイターの養成や支援を行う株式会社クリエイターズマッチ(東京都渋谷区)。本プロジェクトは同社のメソッドと日本たばこ産業株式会社(=JT、東京都港区)が推進する地域社会への貢献活動「Rethink PROJECT」がコラボしたもの。セミナーでは、主にデザイン未経験者を対象に、デザインに必要な情報収集の考え方を座学とワークショップを通して学ぶことができます。高松での開催は2019年10月以来、3年ぶり2回目となります。
コロナ禍だったここ数年、リアルとオンラインのハイブリッド形式で行ってきた同セミナー。今年に入り、リアルのみでの開催が復活しました。会場では、換気や来場者の検温を行い、手指の消毒、連絡先の記入およびマスクの着用を求め、新型コロナウイルス感染症の対策も万全の中で行われました。
メディアの注目度も高く、テレビ局や新聞社など県内各局が訪れ、セミナーの模様を取材しました。
今回のセミナーの題材は「香川の伝統野菜」。生産量・消費量が減少している伝統野菜のPRを考えるべく、県内の野菜生産者や流通担当者、香川大学の学生ら22人が参加しました。
セミナーは前半30分・後半90分の計120分で構成。前半は「Rethink=視点を変えて考える」講座を行い、後半はその技術を駆使しながら地元のPRポスター2点を実際に製作していきます。講師は、徳島大学特任教授を務める石原佑さんと、香川出身・香川在住で「IH.design」のデザイナーとして活動する磯田浩見さん。講師2人が軽快なトークを交えながらわかりやすく「Rethink(視点を変える)」のコツを手ほどきしていきます。
「Rethink=視点を変えて考えること」について、「FILTER=誰に何を伝えたいのか絞り込む」「INSIGHT=相手に寄り添った情報、モノの外側ではなく内側を見る」「CAPTA=データ情報ではなく自由で柔らかい印象などの情報を見る」というRethinkの上で重要となる3つのステップを紹介。
今回はスイーツが好きな磯田さんの大学時代の友人をターゲットに「香川」のPRを考えていきます。「FILTER(フィルター)」「INSIGHT(インサイト)」「CAPTA(カプタ)」の3つのステップを踏まえて考えていくと、クリエイティブはどう変化するのでしょうか。
ステップを踏まえていくことで、「不特定多数に向けたメッセージ」が「具体的なターゲットに向けたメッセージ」へ変わっていくことが分かります。
Rethinkの3つのステップはクリエイターズマッチに在籍するクリエイターが企業のブランディングや課題解決のため実際に使っているテクニックとのこと。プロが現場で実践している技を凝縮し学んだ30分の座学を経て、いよいよ後半は実際にポスターを作るワークショップに進みます。
セミナー後半では参加者が4グループに分かれ、前半で学んだことをもとに「香川の伝統野菜の魅力」を発信するポスターを作成するワークショップを行いました。テーマは「まんば」「たべて菜」「香川本鷹」「葉ごぼう」の4つの野菜。写真の並べ方を変えた2パターンを用意し、それぞれチームで組み合わせるコピーを考えていきます。
「FILTERを通して、伝えたい相手を想像する」、「写真から感じられるCAPTAをたくさん見つける」、「INSIGHTに寄り添うキャッチコピーをつくる」、そして出来上がったコピーをもとに「デザイナーがポスターのデザインをつくる」の4つのステップで進行。
グループワークでは和気あいあいとしながらも真剣な議論があちこちで交わされました。これもリアル開催ならではの光景です。
その後、各グループの代表者が発表し、講師の石川さん、磯田さんが講評しました。各グループで出たフィルター、キャッチコピーは以下の通りです。
【1グループ】
【2グループ】
【3グループ】
【4グループ】
選出されたキャッチコピーは「思ったよりうまいけん、食べてみまい」「あなたなりのレシピを考えて♥」の2つ。次にコピーを磯田さんが写真に落とし込んでデザインします。
同じ言葉でも、ちょっとした要素で印象はぐっと変わります。大きさや書体を変えたり、時には角度を変えたり、変形させたり…。
その模様を真剣に眺める参加者たち。磯田さんのアイデアでどんどん印象的に仕上がっていくポスター。会場からは時折感心の声も上がります。
2つ合わせて20分ほどで完成させた磯田さん。その作品がこちら!
その他、「Rethinkの考え方を仕事にも取り入れていきたい」「香川の野菜を再発見する機会になった」などという声が集まりました。
株式会社クリエイターズマッチ 大友湧矢さん
また一つ、新しい形のセミナーを開催できたと思います。当セミナーでは地域の方にとって身近なものを題材にしていますが、今回は野菜ということで特に身近なテーマでした。参加者にも生産や流通で野菜に関係のある方が多く、自分のこととして考えていただけたのではと思います。
「地元を誰かにまかせない」がこのプロジェクトのキーワードですが、今回は題材となる伝統野菜に関係のある参加者も多く、一層その思いが強く出るセミナーだったのではないでしょうか。セミナーを終え、「誰もがクリエイターになれる」ということを強く感じました。
講師 石原佑さん
観光地や特産品などの題材が多い当セミナーの中で、「地元の野菜」という珍しい題材を扱いました。生活になじみが深く、生まれてから日常的に口にする野菜を「Rethink」することで、伝統野菜が持つポテンシャルを引き出せたと考えております。グループワークでフィルターの人物を考える際、県外にいる人を考える方が多かったのが印象的でした。このセミナーが今後県外へのPRにもつながることに期待しています。
講師 磯田浩見さん
講師として立つのは初めてで緊張しましたが、これまでデザインしているところを人に見せる機会が無く、貴重な体験ができました。自分が日頃から行っている作業を分解して自分の言葉で話すと、普段何気なくやっている作業を今一度じっくり見ることができ、再発見もありました。解説しながら作業をしたのでちょっとしたあしらいにも込めた意味が伝わればうれしいです。
JT香川支社 長谷川チヨさん 貝藤美和さん(左から)
セミナーの題材を何にするか、香川県庁の方とも話し合いました。その中で「香川県は気候も温暖でオリーブ牛をはじめとする肉類やフルーツ類の生産は盛んな一方で、伝統野菜の生産者・消費量が減っている。多くの方に知っていただき、京野菜のようにブランド化したい」という話が上がり、今回の題材に選びました。
今回の参加者は生産者や流通に携わる方が多く、これまでクリエイティブに携わる機会が少ない分、自分のこととして伝えたいという思いの強い方が多い印象を受けました。それぞれの思いが形になるまでを見られたことは私たちにとってもすてきな体験でした。このセミナーが発信のきっかけとなり、次につながることを願います。
セミナーでの学びを活かし、自分自身で地域の魅力を発信するポスターコンテストが開催されます。人に伝えたい地元の魅力が詰まったメッセージをA4タテサイズのポスターに込めてみませんか。選考作品は地元PR賞としてギフト券5,000円分、優秀賞として賞金3万円、審査員賞として賞金5万円、Rethink PROJECT賞(最優秀賞)として50万円を進呈します。応募締め切りは2022年12月9日(日)まで。詳しくは下記の公式サイトをご覧ください。