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高松市塩江美術館で伝承や水の歴史をたどる展示 ダンスパフォーマンスも

映像作品「Water Commune city」を制作した岡内大三さん

映像作品「Water Commune city」を制作した岡内大三さん

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 「Folklore(フォークロア)-いいつたえ-」が現在、高松市塩江美術館(高松市塩江町安原上)で開かれている。

香川に伝わる人身御供の伝承を基にした「知覚民話-土宙-」

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 古くから伝わる伝承や風習、およびそれを対象に研究する民俗学を意味する「Folklore」。副展示室では、同館初代館長の故・藤沢秋義さんと元四国新聞社常務の故・津森明さんが共著し、香川県出身の童絵作家・池原昭治さんが挿絵を描いた「塩江の民話」の原画45点を展示する。

 本展示室では高松市の水にまつわる多様な信仰、民話、民謡、水を使う上での取り決め「水利慣行」などについて取材し制作した映像作品「Water Commune city」を再編集して上演。水の恵みに感謝し豊作を祈って江戸時代より行われる「ひょうげ祭り」や、2021年に完成した「椛川(かばかわ)ダム」(塩江町安原上東)、1994(平成6)年の「平成6年渇水」などをインタビューも交えて紹介するほか、高松に伝わる水の伝承や祭りを踊りで表現した「知覚民話-土宙-」「水の祝祭」も流す。同展に合わせ椛川ダム近隣の土や石を使って作った立体作品「水底共同体」も展示する。

 「Water Commune city」の監督を務めた岡内大三さんは「本作品は水の持つ『共同体の媒介者』としての力に着目している。古くから人は水源に沿ってコミュニティーを築き、雨を乞うための神や水にまつわる民話・民謡を生み出し、コミュニティーの共同性を作ってきた。一方で古くから水を巡る争いや人身御供の言い伝えなど、個人や共同体を守るための排除の歴史は各地の伝承にも残されている。椛川ダムの建造ではかつてあった集落が水の底に沈み、コミュニティーの離散の原因となった。水が持つ人と人とをつなぐ力や自分たちが得ている水には犠牲の歴史もあることに思いをはせてもらえれば」と話す。

 開館時間は9時~17時(入室は16時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=300円、大学生=150円、65歳以上・高校生以下無料。3月16日まで。最終日には16時から、「水と民話」をテーマにしたダンスと演奏のパフォーマンスを展開する。

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