香川県の伝統的工芸品「保多織(ぼたおり)」を用いたファッションショー「瀬戸内の風、パリの光。―帰国ランウェー in 香川」が11月14日、香川県庁東館のピロティで開かれた。
ショーは、香川在住の若手デザイナー・吉原潤さんが10月、仏パリで開催された「Global Fashion Collective Paris」で発表したコレクションの凱旋(がいせん)公演として企画したもの。国指定重要文化財である県庁東館のピロティを舞台に、パリのランウェーを彩った保多織の衣装を着たモデルがウオーキングを披露した。
モデルとして登場したのは、香川ゆかりのプロモデル・中山ららさん、喰代(ほおじろ)俊之介さんに加え、公募で選ばれた10人の計12人。保多織のジャケットやブラウス、パンツ、タイトスカートなどの衣装に身を包み、ランウェーを闊歩(かっぽ)した。
ショーに先立ち、池田豊人知事も保多織の衣装でランウェーを歩き、会場を沸かせた。池田知事は「ファッションの都パリで披露されたランウェーが香川で再現されることに感激している。保多織はしっかりとした織りと柔らかな風合いが特徴で、寒くなるこれからの季節にもぴったり」と話す。
イベントで吉原さんはパリでの制作や滞在を振り返るトークも披露し、「パリの街並みは自己主張を強く感じた」とコメント。ショーの裏話として、直前までハプニングに見舞われたことや出演モデルから「初めてのランウェーだった。選んでくれてありがとう」と感謝の言葉をかけられたエピソードなども紹介した。
イベントは「保多織ファッション@パリ実行委員会」が主催し、香川県が後援。音楽と照明演出が加わった特別なステージには230人が来場した。観覧した地元高校生の長谷川大輝さんは「普段触れない世界だが、目の前のショーは独特な雰囲気で刺激的だった。香川県のものが世界で活躍したのは誇らしい」と話していた。
イベントを終え、「予想以上に多くの方に来てもらい、驚きとうれしさがある」と振り返った吉原さん。「パリでは書道が広く知られており、墨汁を使った染めの衣装も興味を持って見てもらえた。今後も制作を通して香川の良いものを県内外へ発信したい」と意気込む。「パリ19区の区役所で開かれる伝統工芸品の紹介イベントにも参加したい。今回はファッション性が中心だったが、次は保多織の伝統工芸としての魅力も発信したい」とも。