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高松で香川漆芸巡る高付加価値ツアー実験 人間国宝・音丸耕堂の旧宅活用

音丸耕堂の作品を鑑賞する伊藤雅康さん

音丸耕堂の作品を鑑賞する伊藤雅康さん

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 香川漆芸の作家支援と伝統継承を目的としたツアー「香川サステナブル・ツーリズム(仮称)」の実証実験が1月21日・22日、高松市内で行われた。

音丸邸に残された耕堂の作品

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 生成AIやテクノロジーを活用したクリエーティブスタジオ「studio veco」(名古屋市)が企画する今回のツアー。「日本の工芸は消えつつある。観光だけでは救えない」をテーマに掲げ、旅行者が工芸品を購入することで作家の創作活動を支える「ソーシャルインパクト・トラベル」の確立を目指す。1974(昭和49)年からの約50年間で日本の伝統工芸市場と職人が約8割減少している現状を受け、単なる見学にとどまらず「買う=継ぐ」というサイクルを生み出す仕組みを模索する。

 当日は市内外から関係者が参加。午前中に「香川県漆芸研究所」(高松市番町1)を見学した後、レストラン「by age 18」(牟礼町大町)で地元の食材を使った昼食を楽しんだ。

 午後は、人間国宝・音丸耕堂のひ孫に当たる今雪美和さんが代表を務める「ユーケイサービス」(牟礼町町原)と連携し、同町にある耕堂の邸宅を訪問した。参加者は、耕堂の「最後の内弟子」として知られる漆芸家・松原弘明さんから直接指導を受け、漆を塗り重ねて模様を出す技法「堆朱(ついしゅ)」を体験。夜は松原さんを囲んでの座談会を行い、職人と膝を突き合わせて語り合う時間を設けた。

 「studio veco」代表の伊藤雅康さんは「ただ消費するぜいたくではなく、旅すること自体が支援になる『ノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)』としてのツーリズムを目指す。このツアーでは漆芸作家も参加してもらうことで現代の「推し活」のように、特定の作家を「推し」として支援するパトロン文化を再構築したい」と話す。「AIも発展し『きれいなだけのもの』があふれる昨今、重視すべきなのは『世界観』。まず漆芸研究所で漆芸に対する理解を深めた上で、音丸耕堂がかつて住み、作品を生み出してきた邸宅を訪れ、漆芸作品を作り、持ち帰るというここでしかできない体験をできるツアーにしたい」とも。

 今後は実証実験の結果を基に商品化を進め、海外の富裕層などをターゲットに50万~80万円の価格帯での販売を想定。旅行代理店などと連携し、年内の販売開始を目指す。将来的には「地域IPセット」として全国の自治体へ展開するほか、海外の美術館や旅行会社への販売も視野に入れるという。

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