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高松「四国村」で四国各地域に伝わる正月飾りを再現 先人の思い伝える

野菜や魚をつるし豊作と大漁を願う「山下家住宅」の正月飾り

野菜や魚をつるし豊作と大漁を願う「山下家住宅」の正月飾り

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 四国各地の古民家や歴史的建造物33棟を移築・復原する高松の野外博物館「四国村」(高松市屋島中町)で毎年恒例の正月飾りが施され、訪れる人の目を楽しませている。それぞれの地域に伝わる正月飾りを再現することで、飾りに込められた先人の思いを今に伝えているという。

「吉野家住宅」では魚を12対つるし大漁を祈願

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 香川県大川郡白鳥町(現東かがわ市)から移された「山下家住宅」では、カブやダイコンなどの季節の野菜とブリを神棚につり下げた。新年の豊作と大漁を願う県東部の風習だという。

 徳島県海部郡由岐町(現海部郡美波町)の漁師の家だった「吉野家住宅」では、大漁を祈願する12対のイワシを神前に供えている。この魚は「掛けの魚(いお)」と呼ばれ、うるう年には13対の魚を供える。

 人口の限られる山村部では子孫繁栄が第一の願い。徳島県美馬郡一宇村(現美馬郡つるぎ町)の「下木家住宅」は松の代わりに竹を立ててしめ縄を張り、しめ縄の中央にユズリハの若葉をつるす質素な飾り付けだが、次世代へと家をつなぐ意思が若葉に託されている。

 一方、愛媛県上浮穴郡小田町(現喜多郡内子町)の「河野家住宅」では堅いカシの木の門松を置き、戸口には眼鏡型のしめ飾りを飾る。カシの門松は堅実な暮らしぶり、2つの輪を並べたしめ飾りは見通しのいい一年を願うものだ。

 生活を支える道具に正月飾りをする家もある。高知県高岡郡檮原町の「楮(こうぞ)蒸し小屋」では和紙の原料となるコウゾを蒸すかまどにしめ縄を巻き、火の神に木の「ケズリカケ」を捧げる。

 徳島県三好郡東祖谷山村(現三好市)の「中石家住宅」では道具に対する一年の感謝とねぎらいの気持ちを込め、洗い清めた農具に紅白の水引を結ぶ。

 同施設企画広報課長の新福功さんは「昔の人は生きること、暮らすことが大変だった。正月飾りにはそんな人々の願いや祈りが込められている。できるだけ若い人がおじいさんやおばあさんと一緒に正月飾りを見て、飾りに込められた思いについて会話をしてくれたらうれしい」と話す。

 開村時間は8時30分~17時30分(受け付けは16時30分まで)。入村料は、一般=1,000円、高校生=600円、小中学生=400円。正月飾りは1月10日まで。

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