四国各地の古民家や歴史的建造物を移築・復原する「四国村」(高松市屋島中町)で現在、桃の節句に合わせたひな飾りが展示されている。
飾りは県内外の一般家庭から寄贈されたもの。例年、農村歌舞伎舞台を使った大規模な展示が見どころだったが、今年は「瀬戸内国際芸術祭2022」の準備のため舞台を使わず、村内5カ所の古民家で飾り付けを行う。
「丸亀藩斥候(せっこう)番所」では昭和末期に制作された絢爛(けんらん)豪華な7段飾りを設置。天井には同施設のスタッフが手作りしたつりびな風の飾りをつるし、時季を迎えたスイセンの花も添えてきらびやかに仕上げた。
「山下家住宅」「久米通賢先生旧宅」「中石家住宅」のひな飾りは、戦前の関西地方で流行した「御殿飾り」。京都御所をイメージした「御殿」の中に10センチほどの内裏(だいり)びなを置いている。
庶民が暮らしていた山下家では、ひな壇の代わりにあえて吸い物わんの箱などを使い、質素な生活の中の飾り付けを再現。一方、香川の製塩業の礎を築いた久米通賢宅ではより華やかな御殿飾りを用意し、ひな祭りを描いた貴重な掛け軸も飾っている。中石家では御殿飾りの前にたんすや長持、重箱といったひな道具の現物を並べ、民具を多数保管する同施設ならではの意匠を凝らしている。
県内の一部地域ではひな段の両脇に市松人形を並べる風習があることから、「下木家住宅」には2体の市松人形のみを展示。
村内では約2000本のスイセンと約20本の梅が花を咲かせており、タイミングが合えば満開のスイセンと梅の共演が楽しめるという。
同施設企画広報課長の新福功さんは「今年は四国村らしく、民家の雰囲気を生かしながら民具も交えてひな飾りを行った。最近はひな飾りをする家も減っているが、伝統的な飾りを見るいい機会になれば」と話す。
開村時間は8時30分~17時30分(受け付けは16時30分まで)。入村料は、一般=1,000円、高校生=600円、小中学生=400円。ひな飾りは3月中旬までを予定。