自転車で全国の都道府県を回ってGPSで絵を描き、ご当地ソングを作る「天下統一プロジェクト」を進めるシンガー・ソングライター天歌布武信長(てんかふぶのぶなが)さんが5月20日、兵庫県でのプロジェクトを終え、完成した曲を喫茶「リーフ」(綾川町)で披露した。
天下統一プロジェクトは各都道府県を馬に見立てた自転車で回り、GPSを使って織田信長の絵を描き、その土地を回って感じたことや体験したことを歌にするもの。2012(平成24)年に埼玉県でプロジェクトをスタート。中国、四国、関東を回ってきた。兵庫県は12県目。今回の旅先に兵庫県を選んだ理由について、信長さんは「兵庫県は古来から瀬戸内の重要な海運の拠点であり、『兵庫を制する者は天下を制する』という言葉もあると聞き、旅先に選ぶとともに、今回制作した曲のタイトルにも付けた」と話す。
4月9日、姫路城(兵庫県姫路市)で出陣式を行い、大阪や香川からのファン「家臣」に見送られて旅をスタート。馬の頭や「天下統一」ののぼりを付けた自転車に荷物を積み、兵庫を反時計回りに回り絵を描いていった。顔の輪郭以外の目や眉毛、口などのパーツを描くため時には引き返したり、脇道に入ったりすることもあったという。本土や淡路島を1カ月かけて回り、5月16日に旅を終えた。
綾川町の旧枌所(そぎしょ)小学校跡を使い、ものづくりや音楽などの教室を展開する「monohouse(モノハウス)」を運営するNPO法人「かがわ・ものづくり学校」理事でもある信長さん。同施設で音楽教室も開いており、今回のイベントは教室の生徒らが集まる発表会を兼ねたライブだった。イベントについて、「普段は自分が準備をするのだが、今回は旅に出ている最中だったので全て地元の方が準備を進めてくれた。自分は『兵庫統一』を、生徒たちはライブに向けた練習を、それぞれ進めて今日を迎えた」と話す。
今回の旅について、信長さんは「兵庫は自立して己の道を進む『つわもの』が多いところだった。旅をする人も多いところで、道の駅や港、田舎でも施設が整備されており、野宿もしやすいところが多かった。住んでいる人も旅人に慣れている人が多く、温かく迎えてくれた。丹波は明智光秀とゆかりの深い土地で、信長をモチーフにする自分が行って大丈夫だろうかと心配だったが、実際に行くと快く迎えてくれた。山道でタイヤのパンクに悩まされるなど旅には苦労やストレスが絶えなかったが、そんな時には丹波の黒豆茶に癒やされ、歌詞にも入れた。兵庫は『五国』というだけあって、その土地その土地で全然様相が違う。今回回れなかった場所も見てみたくなった」と話す。
「次の旅では鳥取県を回りたい。鳥取の人と日本海側で関わりを持つことが多かったので会いに行きたくなった。コロナも落ち着いてきたのでまた以前のように統一活動をしていきたい」とも。
完成した曲は旅先で撮影した映像とともにユーチューブで公開するほか、イベントでも上映する予定。兵庫県でも演奏の場を設けたいという。