高松で介護職員として働く逢坂(おおさか)貴良さんが7月2日、京都府建築工業協同組合(京都府京都市上京区)「葭(よし)塾」が制作した大名かごを受贈した。
逢坂さんは介護職員として勤務する傍ら、着物や香川の伝統的な盆踊り「一合まいた」をはじめとする香川の伝統・歴史を伝えることを目的に活動する団体「わだもん」のメンバーでもある。
昨年5月、11代高松藩主・松平頼聰(よりとし)と正室・弥千代姫の復縁150周年を記念して開いたイベントで、逢坂さんは特技の切り絵で弥千代姫のかごを再現し披露した。その時から大名かごに特別な思いを抱くようになったと言う。「実際に使われたかごを見て、文献などを参考に外見を再現するうちに、大名たちがどんなかごに乗っていたのか気になり『再現したい』という思いが湧いてきた。徳島県に残る巻物を見たり、多度津町に残る大名かごを見たり、自分なりに研究したが、制作費用が70万かかると言われ、出せる額ではなかったので一度断念した」と振り返る。
そうした中、6月に「葭塾がかごを制作した」という新聞記事を見つけた。かごは若手大工の育成を目的にヒノキや銅板を使い、昔ながらの製法で9カ月かけて作られたもの。「職人の技術を多くの人に見てもらいたい」と3月より寄贈先を募集していた。逢坂さんは早速電話をかけ、京都に足を運び、思いの丈を伝えた翌日、「寄贈したい」と連絡があったという。
わだもんのメンバーとともに寄贈式に参加し、同組合よりかごを受贈した。かごは現在、本体は貸し倉庫、柄は高松の家族の家で保管していると言う。
今回の受贈について、「昨年5月のイベントで、紙製とはいえ、かごを作り担いだ時から、かごを持つことに憧れていた。今回、それがかなってうれしい」と笑顔を見せる。
今後について、「ヒノキや銅板を使っていて、かなりの重量があるので、それを解決するのが現在の課題。重量を解決できたら、切り絵も交えて披露したい。職人の手仕事を多くの人に見せられれば」とも。