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「くまのプーさん」などを翻訳 菊池寛記念館で石井桃子さん企画展

展示室の様子

展示室の様子

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 サンクリスタル高松(高松市昭和町)4階の企画展示室で10月5日、児童文学者・石井桃子さん(1907~2008)の功績をたどる第30回文学展「石井桃子の101年 本は一生の友だち」が始まった。

石井さんが携わった絵本を読めるコーナーも併設する

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 石井さんは1929(昭和4)年に文芸春秋社に入社して以降、当時は珍しい存在だった女性の編集者・翻訳家として活躍。

 30歳前後から100歳近くまで、70年間にわたって本を出版し続けた。「クマのプーさん」「ピーターラビットのおはなし」「ちいさなうさこちゃん」シリーズ、「ちいさいおうち」など、編集、翻訳、創作した児童向けの本は生涯で300冊に上る。

 自ら書き上げた児童文学作品「ノンちゃん雲に乗る」が1951(昭和26)年にベストセラー入りし、映画やドラマ化を果たしたことでも知られている。

 出身は埼玉県だが、日本女子大学校(現日本女子大学)在学中に高松市出身の文豪・菊池寛の元で海外の本を読んでまとめるアルバイトをしており、その後、菊池寛が創刊した文芸春秋社の編集者になるなど所縁(ゆかり)があることから、今回の企画展開催に至った。

 生涯の代表作の一つである英国の作家A・A・ミルン作「クマのプーさん」を訳するきっかけは、菊池寛の紹介で当時の内閣総理大臣・犬養毅の蔵書整理を頼まれ、ミルンによる「プー横丁にたった家」の原書を手にしたことから。

 展示では、翻訳に携わった本や、菊池寛や犬養毅、同時代の児童文学作家らとの交流関係をまとめた資料、留学時に使っていた旅行かばんなどの私物などを展示している。特に直筆原稿は生前、石井さんが原稿をすぐに捨てていたこともあり、貴重な資料となっている。

 同館学芸員の綾野七恵さんは「石井さんは見かけはおとなし気だが、今と違って男女平等の意識が低い時代に編集者として仕事をしたり、48歳でアメリカに留学したりと非常にエネルギッシュな方。今日の日本の児童文学の礎を築いた石井さんの生涯を知ることができる展示会になっている。会場入り口に置いてある直筆の色紙も石井さんの人生観が垣間見られるのでぜひ見てほしい」と話す。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=200円、大学生=150円、高校生以下無料。11月7日まで。

(10月16日 17:09 タイトル・内容の一部を修正いたしました。)

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