アスパラガス農家であり、ミュージシャンとして音楽活動も行う「アスパラ王子」こと大森翔太さんが来年2月18日、高松・レクザムホール（高松市玉藻町）大ホールで単独公演「nisokunowarajin（ニソクノワラジン）」を開く。

収穫したアスパラガス「さぬきのめざめ」を持つ大森さん

　多度津町でアスパラガス農家「おおもりや」を営む大森さん。香川県独自ブランドアスパラガス「さぬきのめざめ」を専門に栽培し、ウェブサイト「産直アウル」を中心に販売し、同サイトの人気ランキングで3カ月連続全国1位を飾ったこともある。

　大森さんは元々ミュージシャンとしてバンドやソロで4年間活動し、全国ツアーも回った。2017（平成29）年、東京の音楽事務所と契約を結び上京するも「東京は自分に合わない」と感じ、1週間で香川に帰郷した。帰郷後、祖父が管理していた休眠中の農地で農業を始めようと農業普及センターに足を運び、アスパラガスと「さぬきのめざめ」に出会う。家に戻ってすぐにアスパラガス農家になることを家族に宣言した。

　家族の協力も得ながら2020年にアスパラの収穫体制が整い、販売と配達を始めたところでコロナ禍が襲った。取引を始めていた県内の飲食店からも断られるようになり、ネット通販を始めた。「それを知ったミュージシャンの先輩がラジオで紹介してくれたこともあり、認知されるようになった。そこから音楽活動は一切せずアスパラガスに心血を注いだ」と大森さんは話す。

　昨年4月にテレビ番組「1億人の大質問!?笑ってコラえて！」に出演。「収録中に歌ってほしいと言われ即興で歌を作って披露した。関係者の反応が良く手応えを感じたが、放送時にはその部分が丸ごとカットされていて、悔しさとともにまだまだ音楽もやれるんじゃないかと思うようになった」と話す。その後、曲「アスワライ」を作りCDも販売し、音楽への手応えが一層増したという。「サイトに掲出するバナー画像などは他に研究されまねされる。自分にしかできないアピール方法は音楽しかないと思った」と大森さん。今年に入り、ライブハウスなどでコンサートを行うようになった。

　今回のレクザムホールのステージについて「11月～2月はシーズンオフだが、そこでゆっくり休むのではなく、みんなで盛り上がれる場所を作りたいと思い、ステージを企画した。『二足のわらじ』という言葉を悪く捉える人もいるが、わらじは両足に1足ずつ履かないと歩けない。自分の音楽活動の中での大きな一歩にしたいという思いを込めてこのタイトルを付けた。農業に興味を持つ人が増え、一つの『職業』ではなく、もっと気軽な『選択肢』として見てもらえるようにしたい。そのきっかけの一つになれば」と意気込みを見せる。

　17時開場、18時開演。料金は大人＝6,000円、高校生以下＝4,500円。イープラスで受け付ける。クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」ではライブの開催資金を募り、最前列席への招待券やアスパラガスの収穫体験などを返礼品として用意する。