不登校の子どもたちを支援する「虹の部屋」による秘密基地づくりワークショップが高松市総合教育センター(高松市末広町)で開かれ、2月1日に作品が完成した。
高松市内の不登校児童・生徒の学校復帰や社会的自立を目的に、高松市教育委員会が設置し、同センターが主管する「虹の部屋」。現在49人の子どもたちが登録しているが、小学校を再利用した施設であることから施設の雰囲気に緊張感を持ったり、落ち着ける場所がないために通えなかったりする子どもたちがいることが課題だった。香川のコミュニティー財団「たかまつ讃岐てらす財団」の「2023年度子ども若者の体験や学びの機会を支える助成」の採択を受け開催した。
高松の建築士・野上むつみさんを講師に招き、3日かけてグランピングドームを職員と子どもが一緒になって作った。1日目はどのような秘密基地にするか、秘密基地で何をしたいか子どもたちと意見交換会を行い、ストローでドームのミニチュアを作り、建築の構造を学んだ。2日目は骨組みを組み立て、3日目に飾り付けて完成させた。飾り付けには職員と10人の子どもたちが参加し、お互いに声をかけ合いながら取り組んだ。ツタやカラーシール、のれんなどの材料を協力して飾り付けた。
野上さんは「グランピングドームを活用した秘密基地作りは昨年塩江でも行い、今回が2回目。子どもたちが落ち着ける場所を作りたいと相談を受けた時に、教室をリフォームするのは難しいが教室内に秘密基地を作る形ならできるのではないかとワークショップを企画した。作業を通して子どもたちが考える力を付け、協力することを学ぶとともに建築を身近に感じてもらうきっかけになったと思う」と話す。
「生徒の話を聞く中で改めて子どもたちは大人が思う以上にさまざまなことを考えていると感じた。大人はそれを引き出してあげるよう働きかけなければならない。このワークショップは生徒と先生が同じ目標や目線で一つのものに取り組めるのが良いところ」とも。
高松市総合教育センターで「虹の部屋」をはじめとする不登校支援を行う熊田知香さんは「体育活動や調理活動などのイベントも用意しているが、子どもたちが一緒に話し合って一つのことに取り組むのはなかなか難しい。今回助成金を使い、外部の方が参加することでこれまでにないアイデアが持ち込まれ、子どもたちにも良い刺激になった。今後も子どもたちが社会にさまざまな人がいることを知り、つながりをつくれるものを開いていきたい」と話す。