企画展「LOCAL DESIGN OF KAGAWAー金子正則とその時代ー」が現在、「蒼島(あおいしま)」(高松市牟礼町牟礼、TEL 087-814-3890)ショールームで開催されている。
1950(昭和25)年~1974(昭和49)年に香川県知事を務めた金子正則は、芸術家・建築家と広く交流し、香川の建築や芸術活動に力を入れたことで「デザイン知事」とも呼ばれた。在任中は建築家・丹下健三が香川県庁庁舎や香川県立体育館などの設計に携わった。このほか、彫刻家のイサム・ノグチや流政之(ながれ・まさゆき)を庵治牟礼(あじむれ)に招き、庵治石(あじいし)の伝統を後世に残し世界に通用する石工たちを育成しようと「石匠塾」を開いたり、民具をより洗練された新しい形で再生することを目的に「讃岐民具連」を設立したりした。
会場では期間中、金子正則に関する資料や年表、イサム・ノグチや流政之、讃岐民具連の活動に参加した家具デザイナーのジョージ・ナカシマ、香川県ゆかりのデザイナーやアーティストの作品展示、「香川のデザイン」を紹介する。
同展を企画した、屋島山上交流拠点施設「やしまーる」(屋島西町)館長の中條亜希子さんは「金子正則の言葉に『政治とはデザインなり』がある。戦後間もない時代に就任した金子は政治もデザインも人の心を豊かにするべきと考え、デザインやアートによって香川の文化的活動を押し進めてきた。その姿勢には今もなお学ぶことがある」と話す。
「イサム・ノグチや流政之らを庵治牟礼に呼び、記念館や美術館を作ったことで今も海外に紹介され、観光客が訪れている。一方、県庁に庵治石が使われていることを知らない人もいる。『やしまーる』も屋根に庵治石の瓦を使うなど庵治石にゆかりのある施設。戦後の庵治石をはじめとする香川県のデザインの歴史や魅力を生産地から発信しようと、この場所を選んだ」とも。
「蒼島」社長の二宮力さんは「30年にわたり石材会社を経営してきた。昨年は中條さんのトークショーを聞き、まだまだ知らないことが多いことにがく然とした。そこから中條さんのトークイベントを聴講したり、中條さんから資料を借りたりして勉強してきた。店内で販売だけでなく展示もしたいと思っており、1回目は中條さんの展示をしたかったので今回念願がかなった」と話す。
「展示について、『石材会社がすることなのか』との声もあるが、石材加工に携わる職人や企業が歴史を知ることはプラスになるはず。香川の現在のデザインは金子正則の活動から広がっている。今後も展示を企画していきたい」と意欲を見せる。
開催時間は11時~17時。日曜休館。3月2日まで。
2月16日は、庵治牟礼や香川のデザインについてのトークイベントを開催する。18時30分開始。参加申し込みは蒼島まで、電話(TEL 087-814-3890)で予約を受け付ける。参加料1,000円。