情報通信交流館e-とぴあ・かがわ(高松市サンポート)内のオープンイノベーション拠点「Setouchi-i-Base(セトウチアイベース)」が11月9日、設立5周年を記念するイベントを開催した。
2020年11月の開設以来、「人材育成」「起業支援」「ビジネスマッチング」を柱に、地域で挑戦する人を支える拠点として香川県が運営する同施設。5年間の歩みを振り返るとともに、今後の展望を語り合った。
イベントは3部構成。第1部では、同施設の講座やイベントをきっかけに活躍の場を広げた起業家らが登壇。法人会員の多田佑羽馬さんは「会員同士のマッチングを通じて事業が前進した」と語り、三豊市でウェブ講師として活動する大西麻里さんは「この場所の学びが仕事につながるきっかけになった」と振り返った。
第2部では、現在進行中のプロジェクトを進めるプレーヤーたちが、挑戦の手応えや今後の課題を共有。槙塚鐵工所(木太町)の植村ちひろさんや、IT開発を行う「たびそふと」の高崎真希さん、3D CADを手がける大通龍治さんらが登壇し、「この場所を拠点に地域の未来を創造したい」と意欲を語った。
第3部には、設立当初から施設運営に携わった歴代コーディネーターが登壇。香川県政策部デジタル戦略総室の浅野哲臣さんはi-Base設立の経緯として、県外への人口流出を防ぐため、学んで終わりではなく実践できる「共創するコワーキングスペース」を目指したことを説明し、設立時を振り返った。元コーディネーターの池嶋亮さんは「この場所が共創するためには挑戦がなくてはいけない。ここが守りに入ったら香川は終わる」と述べ、「香川県が運営するからこそ、民間とは違う予算感で挑戦する人たちを応援できる。利用者と共に挑戦し共創する拠点であり続けてほしい」と話した。
イベント後は施設を無料開放し、クイズやチーム対抗のアイデアワークなども行った。
浅野さんは「多くの方々がそれぞれの形で施設を活用し、つながりが生まれているのをうれしく思う。これからも学びを仕事につなげられる環境づくりに取り組みたい」と話す。「開設した2020年は2拠点生活が世に広まり始めた頃で、2拠点生活する方々に活用してもらうことを想定していたが、現在の暮らしと働き方はさらに流動的になっている。これからの働き方にも対応し、さらにビジネスを後押しする場所にできれば」とも。