瀬戸内海の豊島を拠点とするアートユニット「usaginingen(ウサギニンゲン)」のインスタレーション展「トンビとウサギ、賑(にぎ)わいのとなりで/Beside the bustle, Sky and Earth #1」が2月10日、高松市美術館(高松市紺屋町)エントランスホールで始まった。
伸一さんが演奏するオリジナル楽器「Shibaki(シバキ)」
ウサギニンゲンは平井伸一さん、絵美さん夫妻と長男の海凪(みなぐ)君の3人による家族ユニット。自作の映像機と楽器を用いたパフォーマンスで知られる。2011年にドイツ・ベルリンで活動を始め、2016(平成28)年から豊島に拠点を移した。これまでに29カ国で公演を重ね、2014年にはアイスランドの「Reykjavik Visual Music Festival」でグランプリを獲得。Apple Japanの広告にも登場するなど、国際的に評価されている。
同館学芸員によると、今回の展示では、耕作放棄地を再生した公園作りや、旧乳児院を文化拠点として再生する活動など、「日々の営みが作品」という視点の下、自然と人、地域社会との関係性の中に息づく表現を紹介するという。公園で実際に使われる竹で作られたぶらんこや田んぼで使うカメラ付きの「かかし」、収穫した米など、「豊島での暮らしそのものを美術館に持ち込んだ」展示を展開する。
11日に開いたアーティストトークには、平井さん夫妻に加え、金沢美術工芸大学芸術学専攻SCAPe准教授の金島隆弘さんと、香川大学創造工学部講師の柴田悠基さんが登壇。アート活動や今回の展示作品についてトークを展開した。
自分たちを「ライブパフォーマンスユニット」と捉えているという伸一さん。今回の展示は30日間にわたるパフォーマンスと捉えているという。「長きにわたるパフォーマンスなのでハプニングもあるかもしれないが、それもアートと考えている。クライマックスにパフォーマンス公演も用意しており、それに向けた長い導入として展示がある」と話す。展示について「『賑わいのとなり』という展示名は、ベルリンから豊島に移住し、瀬戸内国際芸術祭や豊島美術館などで訪れる人々のにぎわいの傍らで生活を営むわれわれの様子を表している。島に暮らすさまざまな人々の生活も感じてもらえれば」とも。
キュレーターとして出展作品の選定や展示のコーディネートを行った金島さんは「夫婦が島で営む何気ない生活の一つ一つが作品になり得る。出展作品の一つ、『賑わいのとなりで(かかし)』は平井さんが田んぼに立てているかかしにツタが絡み付いている様子と豊島の風景とが美しく、一目見て作品にしようと提案した。平井さん夫妻は生活の営みで生まれたものが作品になっている。パフォーマンスで使う機械や平井さんが作った米など2人の生活のあらゆるものを持ってきている。島での暮らしの息遣いを感じてもらえれば」と話す。
会期中は関連イベントも開催。3月5日13時からは、ベルリン時代に知り合ったミュージシャン・内橋和久さんとの共演と、絵美さんによるライブペインティングを行う。3月7日18時からは、家族3人によるパフォーマンス公演「トンビ 魂の鼓動/Black Kite Pulsation of Souls」を上演。同日13時30分からは絵美さんを講師に迎えたワークショップ「見えないものをカタチにしよう」を開く。ワークショップの定員は10人(要申し込み)、受講料は500円。
開館時間は9時30分~17時(金曜・土曜は19時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。観覧無料。3月8日まで。