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「サヌキ・アストロ・プロジェクト」始動 目指すはロケット打ち上げ高度100キロ

活動をPRするメンバー (左から)三好幸司さん、山本誠一郎さん、古井和貴さん、谷本光平さん

活動をPRするメンバー (左から)三好幸司さん、山本誠一郎さん、古井和貴さん、谷本光平さん

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 香川県内の宇宙開発プロジェクト「Sanuki Astro Project(サヌキ・アストロ・プロジェクト)」が活動を始めて間もなく3カ月がたつ。

和やかな様子の定例会

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 プロジェクト発起人のR7代表の山本誠一郎さんは以前、関東のアマチュア宇宙開発団に所属していた。だがコロナ禍で事実上参加できなくなり、シェアオフィス「J.A.M Factory」(高松市東植田町)の倉庫の一つを借りて、ひとりでロケット研究を続けていた。  

 研究を進める中で、ロケット開発を進めるにはひとりでは知識も人手も足りないと感じ、さらに仲間と共に宇宙開発を行い発信し、皆で楽しく活動できれば、コロナ禍で暗くなっている世の中が明るくなるのではと考え、メンバーを募った。

 J.A.M Factoryを運営する三好製作所の三好幸司社長をはじめ、話に興味を持った人や相談に乗った人が集まり、3月15日、プロジェクトの活動がスタート。2つの部(技術部、広報部)と4つの課(ロケット課、危機管理課、イベント課、技術広報課)に分かれて運営しており、各個人の特性や得意分野を生かす。現在は、毎月第3火曜の夜に定例会を開いている。

モットーは「宇宙開発の活動を通じて世の中を明るくすること」。ロケット開発の最終目標として高度100キロ到達を掲げる。

 「どんなロケットを作るか?」をメンバーと協議した末、液化ガスを使うロケットのエンジンを開発することも決まった。「燃料(石油系燃料や液体水素、固体の場合はゴム系など)と酸化剤(液体酸素など)を混ぜて高速で燃やして発生したガスをノズルから噴射しその反作用で飛ぶ」のが一般的。これに対して、同プロジェクトで作るロケットエンジンは、「液化ガス(常温ではガスのものを極低温まで冷やして液体にしたもの)と水を沸騰させ霧状にして混ぜ合わせることで、湯の熱で液化ガスが常温に戻り、体積が数百倍に膨れ上がる。そのときのガスと水をノズルから吹き出し、その反作用で飛ぶ仕組み」だという。「燃料が液化ガスと水だけなので経済的で、使うガスが窒素などの空気中に含まれるものであれば環境への影響がほぼ無く、温室効果ガスも出ない。火を使わないため爆発や火災のリスクも無く、通常のロケットより比較的安全に実験できる」とも。

 現状の課題は、火を使うロケットと比べると著しく性能が低いこと。現在の仕様のままでは高度100キロ到達は厳しいという。予算が限られていることもあり、既製品を改造して部品を作ったり、3Dプリンターを活用したりして開発を進め、夏ごろにエンジンプロトタイプ1号機(SAP-01)の完成を目標に据える。

 エンジン開発について、山本さんは「日本の宇宙開発の父と呼ばれた糸川英夫先生は『ひとりの天才に頼らず、普通の人の集団で独創的な研究をやろう』と言っていた。この言葉の通り、当プロジェクトのロケット開発の最終目標『高度100キロ』の壁は高いが、『仲間と力を合わせて頑張れば、どんな困難な夢や目標でも関係なく達成できる』ことを証明したい」と意気込む。

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