高松三越(高松市内町)のショーウインドーで現在、高松工芸高校(番町2)デザイン科3年生の生徒による「クラフトスピリッツ~会いまい、見いまい、使いまい!!伝統工芸品~」が展示されている。
作品は同店や同校から出た廃材の段ボールを使って制作した。同店営業統括部の木内佑美さんは「百貨店のウインドーはファッションを中心に紹介しているため、テーマや季節により入れ替えるとき、制作物がそのまま処分されることに疑問を抱いたのが始まり」と振り返る。昨年、同店が90周年を迎えたこともあり、今年3月からSDGsに着目したショーウインドー展示を実施。店内で出た廃材段ボール、クラフト紙、緩衝材を一部使い、近隣の保育園児と「未来の街」を描いた作品を作ったり、県内の農家で出荷できなかった規格外の花をフラワーショップでドライフラワーに加工してもらうとともに、店内装飾で使った生地を裂いて作ったリボンや、色あせたリボンを染色して「母の日」に合わせた作品などを展示してきたりした。そうした中、4月に高松市内のイベント会場で同校デザイン科の生徒の制作物を見て高松三越側から声を掛け、今回の展示企画がスタートしたという。
今回の作品では、伝統工芸品の中から4つをピックアップしてオリジナルキャラクターを考案。立体で作った香川漆器の皿をかぶった「シッキー」、丸亀うちわを羽にした「うち丸」、讃岐鍛冶製品の甲冑(かっちゅう)をかぶった「カテジィ」、庵治石(あじいし)のこま犬「あじっこま」がショーウインドーを飾る。そのほかの香川の伝統工芸品も蔵の中から顔をのぞかせる。
制作した3年生の生徒らは「ショーウインドーを蔵と捉えて、蔵を開けた中に伝統工芸品たちが集まっている様子を表現した。加えて、伝統工芸品がより身近に感じられるようキャラクターにした」と話す。作品について、「とても大きな作品を、限られた場所と時間の中で制作するのでクラス全員で分担する必要があった。作品全体の雰囲気を合わせ統一感を出すのが大変だった。立体キャラクターはイメージを具現化するのに苦労したが、全員で作品を完成させることができ、良い経験になった。この展示を見た人が香川県の伝統工芸品に少しでも興味を持ってくれれば」と期待を込める。
8月30日まで。