高松を拠点にクラシックカーの電気自動車=EV化活動を行う「Sanuki Classic ConvertEV Club(通称=SCCC)」が6月26日、EV化した1974年式フォルクスワーゲンビートルタイプ1「Electric Beetle GENNAi」で、高松市新田(しんでん)町の本部から結願寺として知られる大窪寺(さぬき市)までドライブを行った。昨年2月に発足した同団体にとって、初の本格的な長距離走行テストとなる。
初代サニークーペや1971年式トヨタ・セリカ1600GTなど、メンバーも往年のクラシックカーで同行した。
昨年初めに有志4人でスタートし、現在、会員15人、アドバイザー1人で運営する同団体。発足のきっかけについて、代表の村井伸行さんは「以前からクラシックカーが好きで、イギリスの工場に見学に行くなどの活動もしていた。2020年末ごろ、コンバートEVの存在を知って調べていくうちに『自分も挑戦したい』という気持ちが芽生えた。その時期は、日本国内で2030年を目標に、販売する自動車をEV化する目標が立てられたころでもあった」と振り返る。
日本自動車販売協会連合会が発表している「燃料別販売台数(乗用車)」によると、今年5月の乗用車全体の販売台数6万554台のうち、EVの新車販売台数は1572台で全体の約1.1%ほどだが、今年に入り200万円台のEV車が発表されるなど、BEV(バッテリー電気自動車)はにわかに注目を集めている。EV車の現況も踏まえ、村井さんは「安価なEV車も発表され、電気自動車も主要な選択肢として入ってくると思う。クラシックカーを維持する上で難点となるのがエンジンなどの部品がないこと。EV化すれば、現在の車と同じように、そして長く使えるようになる。クラシックカーのEV化も今後さらに注目されるのでは」と話す。
今回のドライブは450メートルの標高差がある道での走行状況やバッテリー消費のテストを目的に行った。
13時30分に本部を出発し、途中「道の駅ながお」(さぬき市)を経由。バッテリー残量60%で14時30分ごろ同寺に到着した。その後、「道の駅しおのえ」(塩江町安原上東)へ移動。1時間充電の後、17時30分ごろ、本部に戻った。道中では珍しさや懐かしさから他のドライバーたちが声をかける場面もあった。
ドライブを終えた村井さんは「今回EV化したベース車両はスクラップに近いくらい傷んでおり、エンジンのオーバーホールや車体のレストアなどメンバーで力を合わせ、手間と時間を掛けてEV化した。発足後の1年は主に『モノ作り』を主に進めてきた。今回のテスト走行で450メートルの標高差にも十分耐えうることが分かったので、これからはこの車両での『コト作り』として、ドライブやイベント参加などを積極的に行いたい。ゆくゆくはテレビ番組のように、旅先で充電させてもらいながら四国を回るような旅もしたい」と意気込む。