文化イベント「小比賀家住宅でひらく 香川の書・華・茶-『道』とともにある二日間」が5月9日・10日、高松市御厩町の国指定重要文化財「小比賀家住宅」で開かれた。
同住宅は17世紀前半~19世紀中期に建てられたとされており、江戸時代初期の建築様式を残す。これまでも月1回の一般公開を行ってきたが、「見る場所から体験する場所へ」を掲げ、同住宅でアート作品の展示や本格的な文化体験イベントを初めて行った。17代目当主の小比賀信茂さんは「香川県から当住居を文化財として活用しないかと声がかかった。他施設では宿泊などに活用するケースもあるが、自分たちにはハードルが高かったので、展示という形ならできそうだと企画した」と振り返る。
当日は香川県にゆかりのある4人の作家が集結。現代アーティスト・書道家の郷祥さんをはじめ、書道家の一宮加奈さん、茶道家の飯間絵未さん、華道家の北村規子さんによる展示やワークショップを行った。「道」の付く文化をテーマに、かやぶき屋根やしっくいの壁といった歴史ある空間に現代作家の作品が展示され、伝統的な建築と現代のアートが共存する空間が作られた。飯間さんによる煎茶会では、かつて高松藩主の松平家がタカ狩りの際に同住宅に立ち寄っていたことや、茶室の壁が和紙で作られており利用されるたびに張り替えていたなどの歴史エピソードを紹介しながら、茶と菓子を振る舞った。
来場者の一人、高松市在住の堀上いなささんは「過去と現代が交錯する良い空間で体験ができた。煎茶は少量ながら深みのある味で、この場所で飲むことで自分の中で物語が繰り広げられた。日本古来の邸宅に現代アートが飾られたこの空間で日常から離れ、立ち止まって考えることができた」と話していた。
信茂さんの家族が郷祥さんと知人だった縁から企画された今回のイベント。郷祥さんは「今回は書道・華道・茶道と『道』を極めた人たちの作品展をコンセプトに企画した。2024年に東かがわ市のしょうゆ蔵『かめびし屋』で作品展を行った時も、伝統的な場所と現代アートとの親和性を感じており、今回もすてきなものができると手応えがあった。多くの方に足を運んでもらえてありがたい」と話す。
「小比賀家住宅は国指定の重要文化財でありつつ、現在も住居として使われている。自分たちで維持管理を行うのは困難もある。同じような課題を感じている施設は他にもあると思うので、今回のイベントを一つのモデルケースとして展開していきたい」とも。