サンポートホール高松(高松市サンポート)大ホールで9月21日、「せとうち国際音楽祭」ゼロセッションの3日目として、「スペシャルイベント with チャイコフスキー」が開催された。
チャイコフスキーとフォン・メック夫人の交流について話すデニスさん
同音楽祭の4日間のプログラムのうち、この日は「語り」を中心に据えた2部構成のイベントとして企画。同音楽祭名誉実行委員長を務めるデニス・フォン・メックさんによる講演と、バイオリニストのユリア・ビャニコワさん、ピアニストで同音楽祭実行委員長の宮崎朋菜さんによる生演奏が行われた。
デニスさんは講演の中で、自身の祖先であり、ロシアの作曲家・チャイコフスキーを支援し続けたナジェジダ・フォン・メック夫人について語った。フォン・メック夫人の息子はチャイコフスキーの姪・アンナと結婚したため、デニスさんはチャイコフスキーとも血縁関係がある。
2人は1876(明治9)年から14年間、約1220通の手紙を交わしながらも、生涯を通じて一度も直接顔を合わせることはなかったという。デニスさんは、人生に行き詰まり借金も抱えていたチャイコフスキーが、夫人からの多額の資金援助により教職を辞し、作曲に専念できた背景を紹介。「見返りを求めずに自分の心の『善』に従い相手を思いやり支え続けた夫人の姿勢は、四国遍路における無償の施し『お接待』の精神と深く重なる」と語った。
演奏パートでは、チャイコフスキー作曲の「四季」より「10月 秋の歌」や「感傷的なワルツ」、「なつかしい土地の思い出」より「メロディ」などが披露された。さらに、四国の文化とリンクする楽曲として、宮崎さん作曲の「四国八十八カ所お遍路巡礼の旅」より「第七十五番 善通寺」も演奏された。
デニスさんは、かつて王族や貴族がパトロンとして芸術を支えていた歴史に触れ、「文化は人を前に進め、それによって社会全体も前進する」と、現代においては社会全体や企業が芸術文化を支えることの意義に言及。「誰かの才能を信じ、それが花開くのをじっと待つことの大切さ」について語った。




