高松市南部の香川町東谷に伝わる農村歌舞伎を題材にした映画「スクエアダンス」の上映会が3月10日、映画館「ソレイユ2」（高松市亀井町）で始まる。

映画のワンシーン　見栄を切る山田さん（右）

　高松市香川町東谷に伝わる「農村歌舞伎祇園（ぎおん）座」は、江戸時代後期に若者たちが習ってきた芝居を平尾八幡神社の氏神の祭礼で演じたのが始まりといわれ、NPO法人「農村歌舞伎祇園座保存会」が保存活動を続けてきた。1965（昭和40）年、香川県無形民俗文化財に登録された。

　「さぬき映画祭2022」シナリオコンクールで優秀賞を受賞した同作。あらすじはプロのミュージシャンを目指すがうまくいかない主人公・亀井礼雄（れお）が、ある日「農村歌舞伎祇園座」で活躍する60歳の女優・権藤多恵子と知り合い、人生や恋、歌舞伎のパフォーマンスなどについてアドバイスを受けるうちに恋に落ちてしまうストーリー。

　シナリオと監督を担当した竹内一二三（ひふみ）さんが農村歌舞伎に出合ったのは香川中央高校在学時。在籍していた郷土史研究部（現在は廃部）で農村歌舞伎に取り組んだのが最初だと言う。「部活動の農村歌舞伎の指導に祇園座の方が来ていた。後に香川の伝統文化を題材に撮ろうと農村歌舞伎を題材に選び、祇園座を訪ねたところ、同団体の中心メンバーである鎌田直子さんが郷土史研究部の先輩であることが分かり、意気投合した」と振り返る。映画化は地元住民らによる協賛金と「赤澤記念財団」の助成金、上映会は「中條文化振興財団」の助成により実現した。

　上映会は同館のほか、3月20日・30日＝JAM FACTORY（東植田町）、同22日＝イオンシネマ綾川（綾川町）、同23日＝志度源内音楽ホール（さぬき市）でも行う。上映会では、トークイベントや山田さんによる主題歌披露（ソレイユ2・イオンシネマ綾川）や同団体による歌舞伎のワークショップ（志度源内音楽ホール、JAM FACTORY）なども予定する。

　同作について、竹内さんは「映画のクライマックスでは農村歌舞伎のステージも披露される。きらびやかで美しい衣装は祇園座の魅力の一つで、終盤に衣装を着た役者たちが並ぶシーンは壮観。殺陣（たて）や立ち回り、見栄や言い回しもたっぷりあるので、祇園座の世界にどっぷり浸ってほしい」と話す。

　主人公・亀井礼雄を演じた山田翼さんは「ストーリーの主軸はラブコメディーで若い人にも楽しんでもらえる映画。農村歌舞伎の文化をより多くの人に知ってもらうきっかけになれば」と期待を込める。

　開催時間は、3月10日・22日・30日＝19時30分～、同20日＝14時30分～、同23日＝14時～。チケットは、大人＝1,500円、中高生＝500円、小学生以下無料。